唇を噛締めグッと拳を握り締める。
そう、絶対に亜里沙をこのまま失うのは嫌だ。
俺の表情を読んで気持ちを悟ったのか陽歌は満足気に笑った。
「絶対に亜里沙を見つけて説教してやるわ。
親友の私に何も言わずに何処かへ行っちゃうなんて…水臭すぎるわよ。
どうせ晃さんに悪いとか、新婚なのに迷惑を掛けるとか、そんなこと考えて黙って行っちゃったのよ。
本当に…バカよ。何の為に今まで私が亜里沙の気持ちに気付かないフリをして来たと思っているのかしら」
「お前、いつから気付いていたんだ?」
「もしかしたら…と思ったのは随分前よ。
確信を持ったのは、拓巳が亜里沙に彼が出来たらしいから吐かせようって、飲みに行った時ね」
「…あの時? じゃあ何で彼氏がいるって嘘をついている事、教えてくれなかったんだよ」
「言える訳無いでしょ?
亜里沙はあなたへの気持ちを必死に隠す為に仮面を被っていたのよ。
私にも知られたくないみたいだった。
だから亜里沙の前で彼の事を訊くのはタブーだって何度も言ったじゃない」
「あ…あぁ。あれはそういう意味だったのか」



