「彼氏のいる女の子って綺麗だよな。
俺、恋をしているあの目が好きなんだよ」

その男、梶 拓巳(かじ たくみ)は新入社員歓迎会の席でそう言った。

180cm以上はある長身。
すらりと伸びた手足はとても長く、彫りの深いハッキリとした二重がエキゾチックな印象的だ。
自信家らしく薄い唇に笑みを浮かべ話す様は女性社員を魅了するには十分だった。

「梶君モテるじゃない。
梶君を見てくれている女の子なんてたくさんいるんじゃないの?」

「俺さあ、一途な女ってウザイんだよね。
最初は良いんだけど、段々気持ちが重くなってくる。
他の女を見るなとか、飲みに行くなとか、自分だけを見ろとか…。
そうされるとどんどん気持ちって冷めていくだろう?
でも女はむしろ逆でしつこく食い下がってくる。
付き合い始めた頃の初々しさなんてどこへやら…って、萎えるぜ?」

拓巳はうんざりと吐き捨てるように言った。