「…ウソなんかつきやがって」

亜里沙は自分の事を誰にも話さずに抱え込んでいる。

俺にも陽歌にさえも打ち明ける事なく心の奥に一人で苦しみを閉じ込めている。


何で俺に何も言わないんだよ?

何で俺にまでウソなんかつくんだよ?

俺達は親友だったんじゃないのか?

何で独りで泣くんだよ。

俺ばっかりおまえに甘えて、お前は俺に頼ろうとしないのは何故なんだ?

…どうして何も言わないで時々悲しそうな瞳をするんだ?



昨夜の事だってそうだ。

『亜里沙…今夜は…傍にいてくれないか』

そう言ったのは単なる泣き言だった。

あいつはいつものように笑い飛ばして
「バカな事言ってんじゃないわよ。なに泣き言を言ってんのよ」
と、一発引っ叩いて、ヘタレた俺を叱り飛ばしてくれると思っていた。

それなのに…


「うん…いいよ…」


あいつはそう言った。