「お礼なんて…幸せになってね、陽歌」

「うん、亜里沙も幸せになってね」

陽歌は亜里沙を抱きしめ、そのまま肩ごしに俺を見つめた。

「拓巳、もしかしたら来てくれないかと思っていたの。嬉しいわ」

亜里沙に最高の笑顔を向ける花嫁は、真夏の太陽のようにキラキラと輝いていた。

その瞳に眩しさを感じたのは俺だけではなかったのか

亜里沙は静かに微笑み瞳を伏せた。


ああ、この瞳だ。

俺が手に入れたかった最高に綺麗な瞳。

この目で俺を見つめて欲しいとどれだけ願っただろう。

もしもあの時、無理やりにでも彼女を抱いていたら、陽歌は今頃俺の腕の中にいたのかもしれない。

だけど、これでよかったのだと、今は思う。