「しょうがないわね。
彼の話を聞きたかったらフランス料理のフルコースは覚悟してもらうからね?」

覚悟は良いわね?
と流し目でちらっと見ると拓巳は渋い顔をしていた。

「ええっ?ひでぇなあ。
俺の財布の中身なんてたかがしれてるだろう?
でも、まあフルコースはムリだけど亜里沙のためならフンパツしてやるか。
その代わりきっちり吐いてもらうぞ?」


――亜里沙のためなら――


親友に向けられた言葉とわかっていても、心が躍るくらい嬉しくて…

胸が締め付けられるくらいに切なくて。…

こんなにも自分が拓巳を好きなんだと、裸の心を突きつけられたようだった。