【中編】ベストフレンド


「ううっ、安売りもしたくなるよ。
あいつの前じゃ自信たっぷりに俺のこと好きにさせてやるなんて言ってるけどさ、ライバルが夢に出てくる男じゃ戦いようがねえんだよ。
くそ!! なんだって陽歌は、毎晩会った事も無い男の夢なんか見るんだよ」

「そんなの、知らないわよ。
陽歌も分からないって言ってるし。
…でも、もしかしたら昔の記憶なのかもね。
ほら、あの子事故で両親亡くしてるでしょ?
その前後の記憶がハッキリしない所があるって言ってた事があるから…
何かのきっかけで古い記憶が出てきているのかもしれないわね。
本人が忘れているだけで、会ったことのある人なのかもしれないわよ」


もし私の仮説が正しければ、陽歌の毎晩見る夢は過去の記憶に纏わるものじゃないかと思う。

それにしてはおかしな点はいくつかあるけど、夢の男性に恋したのなら、多少の希望的脚色があってもおかしくはない。

詳しいことは話したがらないけれど、キスしたりとかそれ以上を求め合ったりと…
どうもそのようなこともあるらしい。

陽歌は彼がこの世界のどこかに存在していると信じている。

いつも夢に見る丘の風景の話を何度も聞いて、私もその存在を信じたくなっている部分もあったりして…。