「子どもができたからお前を迎えに来たわけじゃないぞ?
お前が妊娠してるって知ったのはついさっきだ。そのくらい解れよ?」
「産んでもいいの?」
「当たり前だろ? もともとプロポーズするつもりで迎えに来たんだ。
これでお前は俺から逃げられないし、直ぐにでも一緒に住むことができる。
俺としちゃむしろ大歓迎だね」
ギュッと抱きしめて頬を寄せる。
彼の気持ちが温もりと共に伝わってきて、これまでの不安を全て消してくれた。
拓巳が私を愛してくれているなんて、まるで夢の中にいるみたい。
けれど、私を抱きしめるこの腕の強さは現実だ。
彼は私もこの子もすべて受け入れて、共に歩もうとしてくれている。
もう一人で苦しむことも、迷う必要も無い。
この子と一緒に彼が示す道を歩いていこう。
「拓巳…ありがとう」
「愛しているよ亜里沙。亜里沙の気持ち教えて?
お前の口からまだちゃんと気持ち聞いたこと無いぞ?」
そう言えば、好きになったのは私が先だけど、一度も告白はしていない。
拓巳が先に告白する形になってしまったことが何だかおかしかった。
両手を思い切り伸ばすと拓巳を引き寄せて、力いっぱい抱きしめた。
封印し続けた想いの全てを、あなたに伝える事が出来るようにと願って…。