「なによ、それ、人の目がどうしたって言うの?
恋人なんかいなくたって、このくらいの瞳の力は持ってる人間はたくさんいるのよ。
そんな理由でちょっかい出してもらってちゃ、迷惑だわ」


まさか梶君は陽歌の事を本気で…?

ううん、またいつもの軽い挨拶で言ってるんだよね。


「へえ、本当に付き合ってる奴いないのか?
それなのにそんな目をしているなんて…」

「…っ!何よ、変なこと言って。
一体どんな目をしてるって言うのよ」

「ん? 恋している目。
強い意志を秘めて誰かを想う事のできる瞳だよ」

「別に…誰も想ってる人なんて…」

「ふうん、男がいなくてもそんな瞳が出来るのなら、尚更良いんじゃないか?
なぁ、俺と付き合おうぜ」

「はぁっ? なっ、何言ってんの?
冗談じゃないわよ」