まだ昼日中は暑さにじんわりと汗をかくような、10月になったばかりの初秋の頃。
2年3組、放課後の教室。
開け放たれた窓からは秋風が吹き込み、白いカーテンがふわふわと揺れている。
窓の外のグラウンドにふと目線を落とすと、楽しそうに部活動に勤しむ生徒の姿が目に飛び込んできた。
「おーい!しっかりボール見ろよー!」
グラウンドにはサッカー部と陸上部が混在しており、皆真剣な面持ちで練習に励んでいる。
下校時刻をすぎてガランと空いた教室の中には、遠くから聞こえる眠くなりそうな吹奏楽の音色に混じり、活気に満ちた運動部の生徒たちの声が騒がしく響いていた。
俺はゆっくりと目線を教室に戻し、気怠げに机の上に腰を落とすと前方に立つ二人を見た。
目の前には同級生の男女二人。
一人は中学時代からの友人の小杉弘康。
その隣にいるのは小杉の彼女の藤原美波。
二人は俺の瞳の奥を探るような眼差しで、何かを期待している表情を浮かべこちらを見ていた。
すぐ目の前でヘラヘラと緩んだ顔をした小杉にイラッとする。
藤原さんなんて胸元で手を組みお願いポーズをしながらキラキラとその瞳を輝かせている。
二人はじっと俺を見つめる。
この二人、瞬きなんてしてないんじゃないか?
「芦原!なぁ頼むよ!こんなの頼めるのお前しかいないんだって!」
「芦原くん!お願い!どうしても芦原くんにやってもらいたいの!芦原くんじゃなきゃダメなの!」
………二人の圧が凄い。
その様子に強ばった体が少しずつ脱力していくのを感じつつ、俺は再びグラウンドに視線を移すと小さなため息を一つつきこう思った。
(なんで俺がヒロインなんだよ……)
押し寄せてくる二人の圧に、困ったような、呆れたような顔をした俺は、どうしてこうなってしまったのかと憂鬱な気持ちで頭の中の記憶をスクロールし始めた。
2年3組、放課後の教室。
開け放たれた窓からは秋風が吹き込み、白いカーテンがふわふわと揺れている。
窓の外のグラウンドにふと目線を落とすと、楽しそうに部活動に勤しむ生徒の姿が目に飛び込んできた。
「おーい!しっかりボール見ろよー!」
グラウンドにはサッカー部と陸上部が混在しており、皆真剣な面持ちで練習に励んでいる。
下校時刻をすぎてガランと空いた教室の中には、遠くから聞こえる眠くなりそうな吹奏楽の音色に混じり、活気に満ちた運動部の生徒たちの声が騒がしく響いていた。
俺はゆっくりと目線を教室に戻し、気怠げに机の上に腰を落とすと前方に立つ二人を見た。
目の前には同級生の男女二人。
一人は中学時代からの友人の小杉弘康。
その隣にいるのは小杉の彼女の藤原美波。
二人は俺の瞳の奥を探るような眼差しで、何かを期待している表情を浮かべこちらを見ていた。
すぐ目の前でヘラヘラと緩んだ顔をした小杉にイラッとする。
藤原さんなんて胸元で手を組みお願いポーズをしながらキラキラとその瞳を輝かせている。
二人はじっと俺を見つめる。
この二人、瞬きなんてしてないんじゃないか?
「芦原!なぁ頼むよ!こんなの頼めるのお前しかいないんだって!」
「芦原くん!お願い!どうしても芦原くんにやってもらいたいの!芦原くんじゃなきゃダメなの!」
………二人の圧が凄い。
その様子に強ばった体が少しずつ脱力していくのを感じつつ、俺は再びグラウンドに視線を移すと小さなため息を一つつきこう思った。
(なんで俺がヒロインなんだよ……)
押し寄せてくる二人の圧に、困ったような、呆れたような顔をした俺は、どうしてこうなってしまったのかと憂鬱な気持ちで頭の中の記憶をスクロールし始めた。
