眠る前の、姫とスミマ。✦

◆深夜11:49◆

部屋は暗く、カーテンの隙間から月明かり。
ベッドの上、向かい合って横になる二人。


「……昨夜はあなたが歌ってくださいましたでしょう?
 今度は、わたくしの番ですわ。」

スミマ
「えっ……ひ、ひめが……?
 ぼ、ぼく……心の準備が……」


「準備など不要ですわ。
 はい、目を閉じて。」

スミマ
「ひぇ……はい……(即閉眼)」




◆先攻:姫の子守唄◆

姫は小さく息を吸って、
月に溶けるみたいな声で歌い始める。


♪ ねむりなさい スミマ
 きょうは よく がんばりました
 あなたの こころが
 やわらかく ほどけますように…… ♪

スミマ
(心の声)
(やばい……やさしすぎる……
 このまま寝たら負け……でも……)

スミマ
「……ひめ……
 ぼ、ぼく……まだ……起きてます……(必死)」


「まあ。
 では、続けますわね♡」

スミマ
「ひぇ……!!」




◆後攻:スミマ、反撃◆

スミマは負けじと、
姫の手をそっと握りながら歌い出す。

スミマ
♪ ひめが ねむるまで
 ぼくは そばに います
 こわいことは ぜんぶ
 ぼくが もって いきます…… ♪


(心の声)
(……この子……
 優しさで殴ってきますわ……)


「……まだ……起きてますわよ?」

スミマ
「……ぼくも……です……
 (すでに声とろんとろん)」




◆合戦、泥沼化◆


「では……こうですわ。」


♪ あしたも いっしょ
 わらいましょう
 あなたの ねむる かおが
 すきですわ…… ♪

スミマ
「ひ、ひめぇ……
 それは……ずる……い……」

スミマ(反撃)
♪ ひめの まつげに
 ゆめが とまりますように
 ひめが だいすきで
 ぼくは うたってます…… ♪




◆限界が先に来るのは◆

スミマ
「……ひめ……
 あの……ぼく……
 目……閉じてただけ……です……」


「それ、ほぼ寝てますわよ?」

スミマ
「いえ……起き……て……
 ……すぅ……」

→ スミマ、歌いながら寝落ち


「……ふふ。
 勝ちましたわね。」




◆勝者のその後◆

姫はそっとスミマの髪を撫でて、
小さく最後の一節を歌う。


♪ おやすみなさい
 わたくしの だいじな ひと ♪

数秒後——
姫も、安心したように眠りに落ちる。




◆翌朝◆

スミマ
「……あれ……?
 ぼく……いつ……寝ました……?」


「子守唄合戦で負けましたのよ♡」

スミマ
「えっ……!
 じゃ、じゃあ……
 今夜は……もう一回……?」


「……ええ。
 覚悟なさいませ♡」



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