「……好きだよ」
口にした途端、体がカッと熱くなった。
自分でも気づかないうちに、こんなにも想いが募っていたなんて。
目の前にいる彼の、驚きで見開かれた瞳が、私の言葉をどう受け止めたのかを物語っていた。
「…………え……?」
彼の掠れた声が、静かな空間に響く。
少し赤くなった耳の裏を見つけて、自分の言葉が彼に届いたのだと実感する。
心臓がうるさいくらいに鳴っていて、自分の顔もきっと真っ赤だろうと思った。
「だから、好きだって言ってるの」
もう一度、はっきりと伝える。
震える声でも、この気持ちだけは伝えたい。
彼がどんな反応をするかは分からない。拒絶されるかもしれないし、困惑されるかもしれない。
それでも、この溢れる気持ちを抑えきれなかった。
彼は何も言わない。ただ、私をじっと見つめている。
その瞳の奥に、ほんの一瞬、戸惑いとは違う、何か別の感情が揺れたように見えた。
期待と不安が入り混じったまま、彼の次の言葉を待つ。
「…………ったく」
小さく呟かれた言葉は、呆れているようでもあり、照れているようでもあった。
そして、彼は少しだけ口元を緩めて、私に手を伸ばした。
触れられることに慣れていない彼の指先が、私の頬にそっと触れる。
その温かさに、胸が締め付けられるような、甘い痛みが走った。