泡沫少女は愛を知らなかった。

やがて二人は、理解する。

愛とは、完成された感情ではない。

不安も、恐れも、未熟さも含んだまま、それでも手を伸ばし続ける意志なのだと。

愛を知らなかった二人は、
似た者同士だったからこそ、
同じ速度で、同じ深さへ沈んでいった。

誰かに教えられたわけではない。

比較する対象もない。

ただ、二人のあいだに、確かに温度が生まれた。

世界は、急に優しくなったわけではない。

問題も、孤独も、消えはしない。

それでも――
帰る場所がある、と思えるだけで、世界は少し、あたたかく見えた。

彼女は初めて、自分が人間であると実感した。
少年は初めて、自分の笑顔が、誰かに向いていると知った。

愛を知らなかった二人は、
ようやく、自分たちの手で、それを生き始めた。