泡沫少女は愛を知らなかった。

二人は、すぐに言葉にしなかった。

愛という言葉は、あまりにも大きく、定義が曖昧で、過去の物語を背負いすぎていた。

代わりに、行動が増えた。

気遣いが増えた。

沈黙の質が変わった。

触れ合うたび、心が揺れる。

近づくほど、不安も増える。

失うかもしれない、という可能性が、初めて現実味を帯びる。

だが同時に、失ってもなお欲しいと思えるほど、相手が大きくなっていることにも気づいていた。