場所は都内のラグジュアリーホテルで、イベント名は『運命の人はここに〜ときめきナイト』
……名前、怪しすぎでしょ。
「で、その婚活パーティーでサクラをやる予定だった同僚の後輩が、急遽彼氏との間に『できちゃった』から、代わりにやってほしい、と?」
私たちのような参加側からは知られていないが、そういったイベントの際には盛り上げ役ともなる一組のカップル――サクラ、を彼女の企画する婚活イベントでは手配しているらしい。
男性側はすでに決まっていて、急遽女性のほうがキャンセルになったそうだ。
「そ。悪阻で会社も来れなくなっちゃって」
「他にいるでしょう? 美希の会社、私たちと同年代多いし、可愛い子だっていっぱい……」
「いるけどね、みんな相手がいるの。結婚してたり、恋人いたり。さすがにもう恋人いる子にお願いできないと思わない〜? クリスマスって、既婚者も未婚も予定でいっぱいなのよ」
ぐっと口籠る……。確かに。互いに同意していようとも相手がいながらそういったイベントに出るのは世間体というものがあるし、クリスマスは恋人や家族にとって一大イベントである。こんな直前ともなれば、当然だ。



