【は……っ⁉ こ、婚活……⁉】
一瞬の沈黙のあと、少し動揺したように震える声。
私は頷いて平然を装い続けた。
「そう。私ももういい年だし、思い切って参加してみることにして――」
【ちょっと待て。なんで、いきなり婚活なんて――】
「だから、申し訳ないけれど……何か頼みたい仕事があったら、他を当たってもらえるかな? じゃあ――」
【え? おい、神山――!】
言いたいことだけ言った私は、急いで電話を切ってしまった。
予定を聞いてきたのは、仕事関係のことで何かをお願いしたかったのだろう。
打ち合せはイブの日の夕方頃までかかるかもと言っていたし、新が帰社するのはきっとイブの夜遅く。
そんな時間に何の仕事を頼みたいんだ? と疑問に思わないでもないけれど、新が私に予定を尋ねる理由なんで仕事しか考えられない。



