『ごめん……神山さん、やっぱりお付き合いの件、無かったことにしてくれないかな? 俺、今日一日神山さんの隣にいて見上げてばかりで、何か自信なくなっちゃって――』
その日、私は、自分の体形でも着こなしやすいロング丈のAラインのスカートと、少しでも足が綺麗に見えるようにと、高いヒールのブーツをチョイスしていた。
まさかそれが先輩を見下ろす形になってしまうとは、予測していなかった。
まあ、あれだ。これは、新への反抗心から、先輩への気遣いをうっかり忘れてしまった私への罰なのだ。
その後、ほどなくして先輩は地方へ転勤となり気まずい雰囲気は避けられたが、なんとも苦い思い出だ。
『俺は、あいつに先輩とのデートで、可愛い格好とかして欲しくないですね~。考えたくないです』
新の声が蘇る。
あのとき、素直に新の言うことを聞いておけばよかったんだ。



