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【ああ、懐かしいわね。初デートにヒールにスカートで気合を入れて行ったら、先輩よりも十センチ以上も大きくなっちゃって、相手が自信をなくしてその日のうちにフラれた……忌々しき事件ね】
その夜。電話口の美希が、嫌な過去をはっきり思い出させてきて、がっくりとうなだれる。
――ううっ……なんとも胸が痛い過去……
帰宅後、約束通り私は四日後の婚活パーティーの確認を美希と電話でしていた。
途中から話は脱線し、いつものようにお互いの進捗報告からはじまり、私の唯一の過去の恋愛に至っていた。
美希は、隙あらばこの話に流れ着き、私に次の恋愛を勧めるのが好きだ。
三年前の心の傷が浮き彫りになり、思わずため息がこぼれる。
「……もう、このことはいいから」
初デートは、予定通りとても気合を入れて行った。
だけど、別れ際、先輩は申し訳なさそうに口にしたのだ。



