まるで可愛らしい格好をした私が“気持ち悪い”とでも言いたげな――吐き捨てるような言い方。
新は誰にでも優しくて柔らかい人だ。その新が、そんな言い方をするなんて。
別に新のことが好きだったわけじゃない。
女性として見られていないことも知っていたし、そもそも、自分に可愛らしさがないことは分かっている。女性らしい華やかな格好が似合わないのは自分が一番よく知っているのだ。
それでも――そんなふうに言われて、とても傷ついた。
胸の奥にあるコンプレックスのようなものを、無造作に踏まれたような感覚。
――いくら不快でも、もっと言い方ってある……。まあいい。新がどう思おうと、先輩は私を可愛いと言ってくれた。デートだって、気にせず可愛い格好で行ってみよう。
陰りそうな気持を押し込み、私はどうにか前向きに考えようとした。
けれど――――現実は思いのほか、厳しかった。



