「お前、下心丸出しだな」
「でも、いつもパンツスタイルだから、それ以外を見てみたい気持ちはわかる」
「だろう? 神山さん、可愛いだろうな~」
恥ずかしい話だが、悪意のない雑談。男の人たちにとっては、普通のことだろう。
「なあ、伊師川もそう思うだろ?」
先輩が、そう話を振った瞬間、心臓が跳ねた。
そこに、新もいたらしい。
同期としては仲が良いが、彼とは切磋琢磨し合える“同志”のような関係だと思っていた。
だから、彼はこんな話を振られたら困るだろう、となんだかむず痒い気持ちになり、その場を離れようとした――。
「俺は、あいつに先輩とのデートで、可愛い格好とかして欲しくないですね~。考えたくないです」
だけど、聞こえて来たのは、一見、茶化すような口ぶりだったが、聞いたことのないくらい意思のこもった言葉だった。



