それから二人とも無事採用され、配属先まで同じという縁に恵まれた。PR戦略部で、お互いに負けまいと励まし合いながら働いた日々は、ものすごく楽しかったし心地よかった。
会社帰りにサシ飲みして愚痴をこぼしたり、夜に電話して相談したり。さっきも言ったが、男女を越えた“親友”みたいな関係だった。
あの日までは――――
入社して仕事や人間関係も順調に回りはじめた三年が過ぎたころだった。
私はその頃、営業部の先輩に告白され、生まれて初めて“彼氏”というものができた。
『神山さんが入社したときから可愛いって思っていて……』
子どもの頃から、クールな雰囲気と背が高いせいで、「でかい」「色気ない」「女っぽくない」と言われ続けてきた私にとって、“可愛い”なんて初めてかけられた言葉だった。



