最低な彼氏と別れる方法/最愛の彼女と復縁する方法

胸が暖かくなるのはおこがましいんだろうか。その優しさで今も救われてしまっていいんだろうか。

きっと私はさぞ可愛くない彼女だったろう。史也の前で可愛く笑った記憶もない。
無愛想でぶっきらぼうで、元彼に"愛想がなくて可愛くない"と言われた頃のまま変われなかったあの頃と同じで。

そんな私に唯一優しかった男性はこれまで史也だけだ。
私の姿や言動や行動に、一切文句を言わず要望を言わず変われと言わずただありのまま私を受け止めてくれたのは史也だけだった。



「今のいちかを見たら可愛すぎて佐倉さんは死ぬんじゃないかと思うんだけど」

『それは言い過ぎじゃないかな』

「でもぜひ佐倉さんに、今のいちかを直接見てほしいなって思った。
誰よりもいちかのことをずっとずっと想い続けてるあの人に、いちかの可愛さを見せたくなっちゃった」



眉を下げて笑いながら、千波は初めてアイスコーヒーを一口飲んだ。

ようやく伝えられて安心したみたいに、少しだけ泣きそうな顔で笑いながら。