最低な彼氏と別れる方法/最愛の彼女と復縁する方法

「だから昔の伝手(つて)を頼りまくっていちかに連絡取ろうと頑張ったんだけど、
いちかったら地元の人たち全員と縁切ってるからなかなか難しくて……。
前の職場の人も個人的なやりとりはなかったって言ってたんだけど、
1年少し経ってからたまたま旦那の兄が東京本社に異動になってね、
最近話題のベンチャーの営業に倉林って名前の人がいる気がする、って聞いて」

『ああー…営業になってから名刺は尋常じゃないくらいばら撒いてるからなあ…』

「超やり手の営業だって言ってたよ。旦那の兄、大手の会社なんだけど商談持ち込んで2ヶ月半で導入完了させたって」

『あはは…まあ、成績は上げてるかな…』

「佐倉さんからはね、幸せかどうかだけ見てきてほしいって言われた。
だから電話番号を渡したのは私の勝手な判断だよ。…本当に、いちかの幸せだけ祈ってたよ。
いい男だよね、旦那が居なかったら好きになりそうなくらい」

『そっか』



史也は今も優しいみたいだった。どうしようもないくらい、私のことを考えてくれている。