最低な彼氏と別れる方法/最愛の彼女と復縁する方法

[え、"いっか"の?あら、お待ちください]



実家では"いっか"と呼ばれていたんだろうか。愛称がちょっと可愛い。

玄関の扉が開けられ、そこには小柄な50代ほどの女性が顔を見せた。



「あらあらあら!いっかの彼氏さん!でもごめんなさいねえ、いっかったら社会人になってからうちに帰ってこないのよ」

『あ…そう、なんですか』

「でもほらせっかくだからお茶でもどうかしら。いっかの彼氏ねー、前にも彼氏を連れてきたことがあるんだけどその時の彼とは結構違うわね」

『すみません、お邪魔します。あ、こちら手土産です』

「まあまあご丁寧にどうもね!学生時代に付き合ってた彼は良い子だったわ。その時はいっかも女の子らしい服装で髪も伸ばしてたからね。別れた途端短くしちゃって、女らしくないったら…」

『そうだったんですね』



かなりおしゃべりな母親のようだ。けれど、連絡先くらいは教えてくれるかもしれない。そう思い家の中へと足を踏み入れる。