「俺の鉄の精神に感謝だな。じゃなきゃお前、とっくに喰われてるよ」
「か、海里が変態なだけでしょ?私、色気ないし、誰も私なんかでそんな……」
「煽った自覚ないから尚更タチ悪りぃ」
「……!」
後頭部を掴まれたと認識したときにはもう彼の唇が頬に触れていた。
優しくて可愛いキス。キュッと狭まった喉元をごくりと鳴らせば、甘やかすような声で「キスは、怖くない?」と尋ねてくるから……。
気づいたときにはもう遅く。こちらも甘えた声で返事をしていた。
「……怖くない」
「ふっ、じゃあ、いっぱいしよ?」
「……うん」
触れ合った唇からほぐれて溶けて、甘く蕩けて。
その夜は、睡魔が二人の意識を奪うまで……
言葉のとおり“いっぱい”してしまったのだった。
03.婚約者はわたし
—end—


