“好き”なんて、絶対に口にしてはいけない。
“好き”じゃないから成り立つ関係もある。どちらか一方だけが“好き”だと分かった場合、恋愛感情を持てない方の人間はきっと罪悪感を感じることだろう。
その罪悪感も片時ならまだしも……私たちは結婚しなければならない。破談にならなければ一生添い遂げなければならないわけで。
「あっ……ぅ」
「ふ、これ……好き?」
“好き”なんて言わない。海里の人生の足枷になるくらいなら、両想いへの憧れなんて綺麗さっぱり捨ててやる。
「……ん、好き」
「っ、」
「おかしくなりそう」
「……はぁ、俺も好き」
また顔を伏せて胸先を咥えた彼はさらに強く私をいじめた。
そんなに胸が好きなのか、むっつりね。なんて思う余裕はすぐに奪われ、固く尖った粒を指と舌で弄ばれながら声が枯れるほど鳴かされた。
感じれば感じるほど、下半身が疼くどうしようもない感覚に襲われて。無意識に太ももを擦り合わせると、彼の大きな手が徐に足元に降った。
いくら経験がないとはいえ、ここから先の行為が段違いのものであることくらい大人だから分かる。
今ですら一杯一杯なのに、このまま最後までしてしまったら……私はどうなってしまうのだろう。
時刻はもうすぐ深夜帯に入る。昨晩お風呂に入ってから丸一日経過している私の体を海里は汚い、臭いと思わないだろうか。
初めては痛いと言うけれど……我慢できるくらい?痛がって海里に嫌な思いさせたりしない?
「……、」
「……南萌?」
浮き足だった感情だけで突っ走れたのはここまで。
未知の領域への恐怖と不安で一瞬強張った表情を見逃さなかった海里は、ドレスの裾に伸ばしていた手を頬まで持ち上げた。


