遅ればせラブアフェア



「んっ、海里」

「……」


ちゅっ、ちゅと吸い上げるように周囲を喰む海里。時折チクリと痛みが走った箇所に目を向ければ、花びらのような赤い痕がついていた。

(……そんなの、初めてつけられた)

きゅっと、心臓が縮む音がする。何者にも執着しないはずの彼が私につけたマーキング。その意図を拡大解釈して……無意識にときめく胸は嫌になるほど正直だった。

右手のひらで私の左の胸を潰し、もう片方の手はシーツを掴んでいた手を優しく包み込む。

強引なのに優しくて温かい。ありもしない気持ちを錯覚してしまう。

これ、なに?どうして海里は私にこんなことしてるの?……なんて、不毛なことは聞けなかった。

どんな理由であっても、あの海里が私を求めていることが嬉しかった。

色んな建前や強がりで塗り固められた普段の私から不要なものを全て取っ払ったら……残ったのは海里への好意。


「……ひぁ、っ」

「声、我慢しなくていいよ」

「だって……みっともなぃ」

「大丈夫。南萌のみっともない声、俺だけに聞かせろよ」

「っ、」


気づきたくなかった。意地悪に笑うこの顔を格好いいと思うのも、私の反応を見ながら触れてくれる優しさにキュッと心臓が締め付けられるのも。全部全部、見ないふりしてきたのに。


「海里……、」

「ん?」

「かい、りぃ……」

「なに、南萌」


胸先を舌で転がされ、経験したことのない身体の疼きに身を捩る。頭はふわふわと思考能力を失って、胸元から舌を出して私を見上げる海里が堪らなく愛おしく思えてしまう。