部屋に入り、二人揃ってベッドに腰を下ろすと僅かに彼の方に体重が傾いた。
常日頃からもやしもやしと弄っているが私と比べれば遥かに肩幅は広いし、繋いだ手も一回り以上は大きい。
隣にいるのは、学生時代からよく知るただの同級生ではない。紛れもなく男であると……僅かに触れ合った肩が教えてくれる。
「……二人で話せるところ来たけど?」
壊したいけど、壊すのが怖い。私たちの関係をそのまま表したかのような沈黙を先に崩したのは海里だった。
ベッドのスプリングを沈ませて、こちらを覗き込んでくる海里にビクッと肩を揺らしてしまう。
だって、ベッドの上で二人。ホテルのロビーでのやりとり。現在に繋がる全てが私の許容を超えていて、今の私はまさにいっぱいいっぱい。
「あ、あの……誤解がないように言っておくけどね」
「……」
パッと目を逸らして口にした前置きは、それだけで下らない言葉遊びを始めることが丸わかりな気がして嫌になる。
「婚約者以外の女性とロビーで仲良く会話するとか……ま、周りの人に変な勘違いされたらどうすんのよって。そういう意味で私は怒ったわけで……」
「へぇ?だからヤキモチではない、と?」
「そ、……そう!」
この期に及んでなんて苦しい言い訳だろうか。もう素直になればいいのに、土壇場でも自分が自分であることを選んでしまう私はこれだから女としてダメなんだ。
「周りに変な勘繰りされたら私が困るんだから、ああいうのは隠れて……」
「ふぅん?隠れてならあの子と会ってもいいんだ?」
「へ……?」


