表情のコントロールが効かず、泣きそうな顔で海里を睨み上げれば、いつだって冷静な海里の瞳が驚嘆の色に染まる。
「……まじか」と呆然としたまま私の手を離した彼は、そのまま右手で口元を覆った。
「南萌が俺にヤキモチ妬くとか……明日は嵐だな」
「は?!や、ヤキモチなんて妬いてない!」
「俺とあの子が話してるの嫌だったんだろ?」
「それは……、そうだけど、違くて……」
強く言い返すこともできず、モゴモゴと押し黙る私を見て「ふはっ」と吹き出す海里。
頭の中は嫉妬心やら腹立たしさやら羞恥心やらでぐっちゃぐちゃ。
これは“ヤキモチ”だなんて浮かれたものではないと説明したいのに、考えても考えてもこの感情を表す別の言葉は浮かんでこなかった。
今の私ではこの状況を打破できない、と……素直に「逃げていい?」と後ずされば、微笑を携えた海里は「絶対ダメ」とまた手を掴む。
「なぁ、南萌」
「……な、なに?」
「パーティー抜けるか」
「えっ?」
パーティー会場の入り口から死角になる柱の裏。私を挟んで壁に手をついた海里の綺麗な顔がジリジリと近づいてくる。
「ダメ、でしょ。まだ挨拶……」
「もう一通り回っただろ?さっきの子みたいな駆け込み需要も面倒くさいし、もう帰りたい」
「……、」
耳元に近づく気配。体は触れていないのに、もうほとんど抱きしめられているみたいな圧迫感に……心臓が破裂しそうに高鳴った。


