遅ればせラブアフェア


じっと羨望の眼差しを向けていると、視線の先の女性のひとりがこちらを振り返った。

「あ、まずい」と思ってすぐに目を逸らしたが、ピンク色のドレスをフワフワ靡かせてこちらに向かってくる彼女。

白くて小さなお顔にはピンク色のチークがよく似合い、朗らかなその微笑みを見れば、世の男は瞬く間に彼女の虜になってしまいそう。

そんな人がどうしてこちらに、と。疑問を持った刹那、彼女の目的地はすぐに明らかになった。


「海里さん、お久しぶりです」

「ああ、鈴木メディカルクリニックの……」

「覚えていてくださったんですね!光栄です」


海里の前に立ち、「まりなです。以前会食でご一緒しましたよね」と花が咲いたように笑う彼女は近くで見てもやっぱり可愛らしかった。

それはもう、いつも憎まれ口を叩いてばかりの私とは比較にならないほど、可愛くて、柔らかくて、感じがいい。


「また海里さんとお話ししたいと思っていたので、今日お会いできるの楽しみにしていたんです!」


隣にいる私は見えていないのか、真っ直ぐに海里を見つめるキュルンと丸い目には彼への好意が溢れている。

可愛い。可愛い。可愛すぎる。女の子って感じで、素直に尻尾振りまくる子犬みたいで。こういうのを見ていると、私には絶対に真似できないと思ってしまう。

さっきまで意地悪な顔で私をからかっていた海里も彼女に対してはにっこり朗らかで紳士って感じだ。

クセのない甘いマスクの海里とフワフワと可愛らしい雰囲気のまりなさん。それはもうお似合いで……、二人のそばにポツリと立っているのがちょっと辛い。