「まったく、嘘がお上手で」
「……何が」
挨拶もひと段落して、会場の隅の方でシャンパン片手に唱えれば、心当たりがあるくせしていけしゃあしゃあと聞き返してくる。
「私の好きなところなんて、捻り出してくれてありがとう」
「ああ、あれね」
「想定問答作ってるなんて、さすがね。私も作っておかなくちゃなぁ」
「別に。想定問答なんて作らなくたってお前にも良いところのひとつやふたつあるだろ」
「……」
ニコリともせず、淡々とした態度。しかしながら、「嘘に決まってるだろ」とは言われず、寧ろ先ほど口から出した言葉を肯定する彼。
すっかり拍子抜けしてポカンと隣を見上げる私に「さっきの答えじゃ納得いかなかったか?」と形のいい唇が薄く開かれた。
「人が嫌がること進んでやるところ」
「……は?」
「負けず嫌いで何事も諦めないところ。おしゃべり好きなところ」
「え、ちょ……何を、」
「あと、顔が可愛い」
「……っ?!!」
死ぬほど恥ずかしいことをツラツラと口に出すこいつが衝撃的すぎて、目をぱちくりさせながら真っ赤な顔を晒すと、クスッと無表情を崩した海里の顔がこちらに近づいて……——
「そうやって、褒められると簡単に照れるとこも。……扱いやすくていいんじゃない?」
「なっ……!」
意地悪に笑いながら、何事もなかったように「食べる?」と料理が盛られたプレートを差し出してくる。
やっぱり嘘なんじゃん!と、まんまと乗せられた自分が悔しくて、「要らない!」と勢いよくそっぽを向いた。


