「ひぎゃあ。特殊な鳴き声だな」
「……っ、」
私の奇妙な悲鳴を冷静になぞっては、鏡越しに私を嘲る酷い男。
せっかくこっちが大人になって事を収めてあげようとしてるのに、それでもちょっかい出してくるなんて子どもかよ。
「触んないで。くすぐったかっただけ」
「……」
声を荒げずにそう告げて、鏡の中の彼からふいっと目を逸らす。
売られた喧嘩を買う事なく、ドレッサーの上に置いていたネックレスを手に取った。
今日の私は淑女だ。いつもみたいにピーピー叫ぶ私ではない。海里に馬鹿にされたって、意地悪されたって……真顔で流せるいい女になろう。
そう決意して、ネックレスの金具部分を首の後ろに回す。中々上手くつけられないでいると「つけるか?」と問われたが、何も答えず無視をした。
口を開けばボロがでる。いい女とか言っておいて大人気ないかもしれないが、止むを得ず海里のことをいないものとして扱っていると、若干の間のあと、自分の存在を主張するように彼の手が私からネックレスの金具を奪った。
「かまえよ。無視すんな」
「……、」
「お前待ちなんだからな、こっちは」
「……」
拗ねたような物言いに驚くと同時、攻撃を受け慣れていない心の柔い部分にトスッと矢が刺さる。


