「こういうのから始まる“好き”もあるんじゃねーかなって」
「……え?それって、どういう……」
「言っただろ?どういう意味かは自分で考えろよ」
「は、意味がわかん……んぅっ」
「ん。お前の言う通り、俺は結婚まで好きに動かせてもらうから」
「……」
再び私の唇を奪ったくせに盗人猛々しく口角を上げた海里は「今後もお礼はこれでいいよ」と声を弾ませて、あっさり会議室を後にした。
取り残された私はしばらく呆然と魂を手放して……ようやく我に返った頃には唇を押さえてその場にしゃがみ込む。
「なんで私とのキスがお礼になんのよ、馬鹿海里……」
こういうことは好きな人としたいんじゃなかったの?だから、あの日……私を抱かずに途中でやめたんじゃなかったの?
「……こんなの、どうしたって自惚れるじゃない」
頭にうっすら浮かんだ一説は……間違いだったら立ち直れなさすぎる。
「ああ〜、違う違う、そんなわけない〜」
せっかく整えてもらった髪の毛は……今度は自分でかき乱して、今日一番のぐしゃぐしゃ具合となった。
02.お礼はくちびるで
—end—


