遅ればせラブアフェア





「ありがとう!助かった」


ディスプレイの設置を終えてお礼を言うと相変わらずの無愛想さで「どういたしまして」と返された。

B病院では割と笑ってたのになぁ、なんて。ぼんやりそんなことを思いながら海里の顔を見つめていると、「……何?」と怪訝そうに眉間に皺が寄る。


「私はそういう顔しか見てないもんなぁ」

「は?」

「婚約者なのに、取引先のおじさんより笑顔見せてもらえないのなんなんだろう」

「……」


ちょっとイジるつもりでニンマリ告げれば、数秒の間の後、「俺の笑顔なんて見たいかよ、お前が」とボソリ。


「別に見たいとかではないけどさ?せっかく顔がいいんだから、普段から笑顔でいた方がモテるんじゃない?」

「……これ以上モテたくねーんで」

「うわ、嫌味〜!いつも言ってるけど別にいいんだよ?婚約してるとはいえ、付き合ってるわけでもないし、もう籍を入れたわけでもないし」

「……」

「むしろ女の子と遊べるチャンスは今しかないんだから、私のことは気にしないでいいよ」


“好きでもない相手との結婚”は私だけでなく海里だって一緒。自分で言うのも悲しいけど、私みたいに気が強くて可愛くない女と縁談を組まれて、可哀想だなぁと同情したりもするんだ。

だから、結婚するまでの間は彼の恋愛を制限するつもりなんてないし、もしそれでこの縁談が壊れてしまっても……私には他の相手があてがわれるだけだ。海里が私のことを気遣う必要はない。