心を入れ替えようと自分に言い聞かせ、とりあえず笑顔をキープ。
ソファーに座るよう促されたので、海里と並んで二人がけのソファーに腰をかけたが、その段階になってもなお、院長の視線が私に向けられることはなかった。
「介護施設の施設長は息子に任せるって話したよね。今こちらに向かってるからもう少し待ってくれるかな」
「はい」
「リハビリ機器を充実させたいと思っているから今日はそこら辺も含めて話が出来たらなと思ってて……」
私の存在を遮断するように体を捻り、海里とだけ話をする倉野院長。ここは無理矢理にでも会話に入らなければ……と一か八かで口を開く。
「本日は介護施設で多く採用いただいている機器を中心に最新の超音波機器などをご紹介できればと……」
「……ああ、そう」
言葉を遮るように発せられたそっけない返事に心臓がヒュッと冷たくなった。
その後すぐに「そうだ。土方くんが前におすすめしてくれた施設内通信機器、介護の方でも使いたいと思ってて……」と再び海里に体を向けるのがこれまた悔しくて……私のプライドがガタガタと音を立てる。
これは一種の抗議運動なのだろう。“担当は引き続き土方くんにして欲しい”っていう。
“海里のお手なみを拝見しよう”、“海里に情けないところなんてみせられない”なんて……立場が対等だから言えることだった。
若い女性っていうだけで勝手に見下されて……そんなのどんなに努力したところで海里に勝てっこない。


