冬季限定恋心,君宛て.

少女は深夜のコンビニで買ったお菓子をカバンに入れ、出口に向かって歩き出した。
彼女は地元で有名なお嬢様学校「鈴蘭女子学園」に通う姫月そよ。
真冬の夜ということもあり、外では大雪が降り始めていた。
(傘もってきてない…どうしよう…)
そよが自動扉の前で佇んでいると、横から誰かが傘を差し出した。
「俺折りたたみ持ってるんで、良ければこれ使ってください。」
そよは驚いて顔を上げた。
差し出し人は、黒い制服に長いネクタイ、サラサラのマッシュヘア。
誰が見てもイケメンと言うこと間違いなしだろう。
「いいんですか、!?」
「いいですよ、その制服…鈴蘭女子の生徒ですよね?お嬢様が濡れて帰るわけには行かないでしょう?」
そよが聞くと彼はすぐに返した。どうやら鈴蘭女子の制服を知っているようだった。
「ありがとうございます!」
「それじゃ、風邪ひかないでくださいねー」
彼はそう言うと傘を開き帰路に着こうとした。
「待ってください!貴方、お名前は?」
そよが慌てて訪ねると、彼は微笑んでこう言った。
「冬城星渚。隣の2年生ですよ。」
二言だけ残し、雪の中に消えていってしまった。
「冬城、星渚くん…か。」