カモフラなのに溺愛されても困ります!

「綺麗……ありがとうございます」


思わず呟き、花束を受け取ってしまった。

そんな私を見て、彼はニッコリ微笑んだ。


「体調の方はどうですか?」

「あ、もう大丈夫です。だから、こんな風に気にかけていただかなくても、本当に大丈夫なんで」


仮病だったわけだし、これ以上、体調が悪い事を装っても、意味がない。

大丈夫なんで、さっさと帰ってくださいねという意味で、負けずにニッコリと微笑みながら言ってやった。

すると彼は、パッと更に輝くような明るい表情になった。


「それなら、良ければこれから少し散歩して、軽く食事でもどうですか?」

「……え」


いやいや、帰ってよ!

何で、デートのお誘いをしてくるわけ?

遠回しに、『もういいから、帰って』って言ってるのに、気付かないんかい!

大丈夫アピールをした事があだとなってしまった……。


「あ、いや……」

「あら、良いわね!楓、せっかくだから、行ってきなさい。昨日、途中で終わってしまったのだし」


適当な理由を付けて断ろうとしたら、先にお母さんに勧められてしまった。