カモフラなのに溺愛されても困ります!

お見合い放り出して途中で帰った奴のお見舞いなんかに普通来る?

それとも、カモフラに使う事に私は彼の中で条件として最上級なのだろうか。

だから、来たのかな?

……こんな事いくら考えてもわかるわけがない。

リビングに入ると、ソファで私の両親と談笑していた彼。

私が来た事に気が付いて立ち上がり、私の前に立った。

私の格好にお母さんもお父さんもギョッとした表情を浮かべている。

特にお母さんなんて苦い顔で私を見た。

ラフすぎるでしょ!……とでも言いたそうな顔。

別に失礼な奴だなと思われてもいいし、早く帰って欲しい。


「似合ってますね」

「……はい?」


彼の口から出てきた言葉は、私が予想もしていない物だった。

思わず聞き返してしまう。


「昨日の着物もすごく似合っていたのですが、このカジュアルな格好も似合っていますね。印象がガラッと変わって、ドキッとしました」


そう言って、西園寺さんは微笑んだ。

……ちょ、ここ、褒めるとこなの?


「楓さん、これ、受け取ってください」


そう言って西園寺さんが差し出した花束。

ピンクのチューリップと白いカスミソウ。

優しい色合いで、ふんわりと柔らかく、いい香りがする。