カモフラなのに溺愛されても困ります!

時間をかけて、何とか脱ぐ事ができた。

着物を丁寧にたたみ、部屋着を着るとベッドに横になった。


「目が覚めたら、夢でした……なら最高なのにな」


そう呟いて私は静かに目を閉じた。



「楓、大丈夫なの?具合悪い?」


声に気が付き、目を開けると、そこに心配そうな表情で私を覗き込む両親の姿があった。

部屋の電気がついていたので、外はもう暗いらしい。


「いきなりいなくなって……西園寺さんも、仲人さんも心配したのよ?」

「ごめんなさい……」

「一体どうしたのよ?乗り気じゃなかったみたいだから、逃げ出すほど嫌だった?」


夢……じゃなかったか。

お母さんに聞かれ、ため息をついた後、ぼんやりしていた頭が一気にクリアになる。

……ちょっと待って。

私、実はかなりヤバい事をやっちゃったのでは……?

頭に血が上っていたとはいえ、このお見合いがおじいちゃんがセッティングした物。

しかも相手は世界の西園寺グループの御曹司!

大企業相手に、とんでもなく失礼な事をやってしまった……。

顔から血の気が引いていくのを感じた。