カモフラなのに溺愛されても困ります!

彼は本当にいい方だった。

これでお断りされても、逆に清々しい気持ちになると思う。

西園寺夫妻も私を品定めするような事はせず、うちの両親にでさえ友好的に話していた。

もっと偉ぶっているかと思ったけど、こんな考えを持っていた事は反省しよう。

……それにしても、帯がきつい。

元々きつかったのに、少しとはいえ食事をしてしまったから、更にきつくなっていると思う。

お見合いってどうやったら終わりになるんだろう?

そんな事を考えながら、トイレから出て部屋に戻る途中、朔夜さんの電話の声が聞こえてきた。

スマホを見て中座した時の彼の顔は仕事モードになっていて、正直驚いた。

仕事ができるんだろうなって、尊敬の念すら抱いたほど。

彼の邪魔にならないよう、静かに部屋に戻ろうとした時だった。


「……ああ。もう少しで終わると思うから。大丈夫。心配しないで、紗雪(さゆき)


朔夜さんの声のトーンはとても優しく、柱の影から見えた彼の表情はとても柔らかかった。

そんな表情で、確かに女の人の名を口にした彼。

その時、私は全てを悟った。