カモフラなのに溺愛されても困ります!

彼が手を伸ばして、その一枚を受け止める。


「お守りにしようかな」


そう言って、彼は照れくさそうに笑った。


「お守り……?」

「はい。このお見合いが上手くいくようにって」


池の鯉が水面を跳ねる音がして、波紋が静かに広がっていく。

彼の笑顔に、私は再びドキっと心臓が鳴る。

それはさっきよりもずっとずっと、大きなもので。

帯の締め付けはまだきついけれど、なんだか少しだけ、この時間が悪くないような気がしてきた。


庭を散策した後、再び部屋に戻り、お茶をいただきながら、話をする。

朔夜さんが私に色々と質問してくる。

ガチガチに緊張していたのが嘘のように、飾らず自然なままで私は答える事ができた。

私の答えを聞いて、朔夜さんは常に優しい表情で同調してくれる。

更に朔夜さんは自分の事も話してくれた。

社会人一年目というのには驚いたけれど、西園寺社長が、学生の時から手伝ってもらっているって補足したから、普通の一年目とは大違いだなって思った。

戦闘モードはすっかり消え失せて、普通に和やかなお見合いとなってしまった。

ただ、流石と思うのは、世界の西園寺だなって。

こうやって、初対面の相手にさえ警戒心を解かしてしまうような巧みな話術は見事だと思う。