カモフラなのに溺愛されても困ります!

彼の着ている、濃紺のスーツは仕立ての良いもので、体のラインにぴったりと合っている。

白いシャツに深い青のストライプのネクタイ。

派手さはないけれど、きちんと手入れされた身なりからは、育ちの良さが滲み出ていた。

「初めまして」と彼が頭を下げた時、ネクタイピンがわずかに光った。

シンプルで上品なデザインだ。

正直、もっと威圧感のある人を想像していたけれど、落ち着いた雰囲気で、どこか誠実そうに見える。

……ヤバい。

やっぱり、事前情報は必要だったかもしれない。

緊張の限界を超えたはずなのに、再び緊張の限界が頂点に達し始めている。

……この笑顔は、世界を救うんじゃないかってくらい、破壊力があるんですが。


そんなこんなで始まったお見合い。

料理が次々と運ばれてくる。

西園寺夫妻の話が上手いせいか、私の両親の緊張も解けて、いつもの自然な二人に戻って、談笑している。

聞けば、西園寺会長……私の目の前に座っている坊ちゃんのおじいさんと、私のおじいちゃんが旧知の仲で、今でも親交があるみたい。

もちろん、会社同士の取引もあるみたいだけど。