全身から力が抜けていくような感覚を覚え、傍にあったテーブルに手をついた。
「…ねぇ、琴李ちゃんも学校の用意するんでしょ?」
由太が新聞を閉じてこちらに近づいてきた。
梱包されたままの文房具と教科書を見て私をチラリと見る。
「オレ、手伝うから姉ちゃんたちは別の用意しておいでよ。まだ着替えてないでしょ?」
そう言うなりテキパキと琴李の荷物を出していく由太。
もしかしたら普段の私の真似をして、琴李の世話を焼こうとしているのかもしれない。
確かに二人で用意するより、三人でした方が効率もいいだろう。
私は少し悩んだ後で、ためらうように口を開いた。
「じゃあ…ペンケースとノートと、教科書を琴李のスクバに入れといてくれる?」
「そんなん余裕だし」
ふいっと顔を逸らしながら、由太が支度に取りかかる。
いつもと違う朝の始まりは、そうして始まった。
***
「いってきます…」
まだ眠っているパパとママを起こさないように、私たちは家を出る。
久しぶりの連休、その初日くらいゆっくりと休ませてあげたかった。
いつものように由太に合鍵を渡し、三人で歩道を歩く。
風を切って走る自動車が横を通り過ぎた。
排気ガスの独特な臭いがする。
そして家からすぐの場所にある小さな交差点にさしかかった時、由太が琴李にスッと手を差し出した。



