「何って、新聞見てる」
ぶっきらぼうに返ってきた見たままの説明に、私の隣にいた琴李が感心したように声を発した。
「由太くん、新聞読んでるなんて大人だね」
由太が自分に向けてカッコつけている事など、全く気づいていないのだろう。
琴李に褒められた由太は「別に、これくらいフツーだし」とそっぽを向きながら、耳まで赤くしていた。
そこで素直に喜べば、もう少し可愛げがあるのに。
そう思いながら、私はさっきの言葉の続きを口にした。
「それより由太。学校の準備したの?今日は琴李の準備もあるんだから、お姉ちゃん手伝わないよ!」
「そんなの、昨日の内に準備したし」
「えっ…」
由太の言葉に私は目を瞬かせた。
あの由太が…昨日、一人で準備した…?
「…忘れ物してない?もう一度よく見てみて」
今までの事もあり、弟を信じきれずに確認を促す。
それに文句も言わず“仕方ないなぁ…”と素直に従う由太。
自らランドセルを開けて、声に出しながら一つ一つチェックをしていく。
「ふでばこあるし、教科書も時間割り通り揃ってる。宿題も入ってた」
「今日、体育でしょ?体操着は___」
「用意してる。ちゃんと上下も揃ってるよ」
「…ウソ…」
完璧だった。
ここまで完璧に由太一人で用意できるなら、今まで私がしてあげてたのは何だったんだろう。



