「う…ううん、だ…、大丈夫、だから…」
私のひたいから流れた汗をひなたが手で拭う。
心配そうに揺れる瞳が私の視線と交差した。
「今日は休んで、明日またじっくり調べよう?奏ちゃんの体調が心配だよ…ねっ?」
優しく頭をなでられて、なにも言えなくなる。
本当はまだパスワードについて調べたいけど…頭の痛みもひきそうにない。
「…うん…分かった…」
私はひなたの言うとおり、休むことにした。
返事を聞くなりひなたが笑顔で立ち上がる。
「じゃあ、お布団を敷くから奏ちゃんは座って待ってて」
「私も手伝うよ」
「いいの!奏ちゃんは休んでてくださーい!」
そう言って布団をしまっているふすまへと駆け寄るひなた。
私は大人しく部屋のすみに移動して、ひなたが布団を敷いてくれるのを待つ。
やがて戻ってきたひなたはテキパキとした動きで布団のセッティングを終えた。
「どうぞ、奏ちゃん」
ひなたに手をひかれながら布団にもぐる。
頭の痛みはだいぶひいていた。
だけど…せっかくだから今日はもう、このまま寝てしまおう。
「おやすみなさい、奏ちゃん…良い夢を見てね」
ひなたが私のお腹辺りを優しくポンポンと叩く。
まるで小さい子供を寝かしつけるみたいな仕草に恥ずかしさを感じながら、目を瞑る。
まだ痛む頭で考えるのは、雛のこと。



