それは、あの子についてのこと。
誰にも聞き入れてもらえなかったこと。
でも、ひなたなら…私を信じてくれるかも。
部屋の中央に置かれたミニテーブルを間に挟んでひなたと座る。
目の前のひなたは穏やかな表情で私の言葉を待っていた。
「今から話すのは、去年の夏のこと…8月8日に私の友達だった“雛”が___殺されたの」
「…殺された…?」
突然の始まりに、ひなたが真剣な眼差しになる。
私も背筋を伸ばして話を続けた。
「うん…山奥にある、心霊スポットとして有名な廃墟の屋上で…雛は誰かに突き飛ばされて死んだ…私は、そう思う」
私は乾燥した喉でツバを飲み込み言った。
その言葉を聞いて、ひなたは不思議そうに首を傾げる。
「奏ちゃん、“そう思う”…ってどういうこと?」
そのもっともな問いかけに、こくりと頷く。
「…雛の死は…表向きには“自殺”だってことになっているの。警察の捜査でそう決まったみたいで…でもね、私には“他殺”だって確証があるの」
「“自殺”ではなく、“他殺”である…確証?」
「うん」
私はそこで区切り、小さく深呼吸をする。



