「奏ちゃん、お腹が空いてるの?」
そう聞かれて素直に頷く。
ひなたはニコリと微笑み、両手をパチンと合わせた。
「待ってて、私が朝ご飯を作るから!」
「えっ…?ひなた、料理なんて作れるの…?」
「ふふ、もちろん。任せて?」
…私は目を丸くした。
ドールなのに料理までできるんだ…。
それって私よりすごい。
「冷蔵庫、見させてもらうね」
そう言ってパタパタと台所に向かうひなたを、慌ただしく追いかける。
見られて困る物なんてないのに。
頭がズキッと痛むのをなんとかこらえた。
「卵と玉ねぎ、食パン…冷凍庫には…あっ、ひき肉があるね」
冷蔵庫と睨めっこしていたひなたが私を振り向く。
「奏ちゃん、オムレツは好き?」
***
それから30分もしないうちに、テーブルには温かい食事が並んだ。
ラインナップはオムレツとトースト、それとマグカップに入ったコーンポタージュ。
「すごい…!ひなた、美味しそうだよ!」
「えへへ、ありがとう。コーンポタージュは市販のお湯を注ぐやつだけどね…さぁ、食べて食べて!」
「うん!」
二人で席につき、いただきますと呟く。
誰かが作ってくれる朝ご飯なんて、久しぶり。
お母さんが死んでからだから…3年ぶりくらい。
スプーンでオムレツをすくい、少し冷ましてから口に運ぶ。
「ん…美味しい!」
口の中でじゅわりと広がるお肉と玉ねぎ、それを包むふわふわな卵の味に舌つづみを打つ。



