「それでは最後に奏様、この子に___あなたの『友達ドール』に名前を付けてあげてください」
エリスさんが女の子の肩に再び手を置く。
「え…、私が付けてもいいんですか…?」
私が言うとエリスさんと女の子が同時に頷いた。
戸惑いながら、女の子を見る。
彼女は穏やかに微笑みながら、私の言葉を待っていた。
ふと頭の中に、ポンッと名前が浮かぶ。
それはあの子の名前だった。
…だけど。
あの子の名前を、そっくりそのまま彼女に付けるのはどうなんだろう…?
「…じゃあ…」
私は口を開く。
「“ひなた”…ってどうかな?平仮名で、ひなた」
ひなた。
それは、あの子の名前と1字違いのものだった。
名前を聞いて女の子が嬉しそうに顔を緩ませる。
「素敵な名前…!ありがとう奏ちゃん」
良かった…喜んでもらえたみたい。
ほっと胸をなで下ろす。
すると、エリスさんが細い指先でドレスのスカートをつまんだ。
そのまま優雅な仕草でお辞儀をする。
「それでは命名を見届けましたので、わたくしはこれで失礼いたします…お二人とも、仲良くお過ごしくださいね」
そう言ってエリスさんは見送りを断り、一人で玄関から出ていってしまった。
居間には、私とひなただけが残っている。
何か話題を…そう思い口を開こうとしたとき、お腹から音が鳴った。
驚いた様子のひなたに、赤面する私。
そういえば起きてから何も食べてなかった…。



