友達ドール2


「それでは最後に奏様、この子に___あなたの『友達ドール』に名前を付けてあげてください」


エリスさんが女の子の肩に再び手を置く。


「え…、私が付けてもいいんですか…?」


私が言うとエリスさんと女の子が同時に頷いた。

戸惑いながら、女の子を見る。

彼女は穏やかに微笑みながら、私の言葉を待っていた。

ふと頭の中に、ポンッと名前が浮かぶ。

それはあの子の名前だった。

…だけど。

あの子の名前を、そっくりそのまま彼女に付けるのはどうなんだろう…?


「…じゃあ…」


私は口を開く。


「“ひなた”…ってどうかな?平仮名で、ひなた」


ひなた。

それは、あの子の名前と1字違いのものだった。

名前を聞いて女の子が嬉しそうに顔を緩ませる。


「素敵な名前…!ありがとう奏ちゃん」


良かった…喜んでもらえたみたい。

ほっと胸をなで下ろす。

すると、エリスさんが細い指先でドレスのスカートをつまんだ。

そのまま優雅な仕草でお辞儀をする。


「それでは命名を見届けましたので、わたくしはこれで失礼いたします…お二人とも、仲良くお過ごしくださいね」


そう言ってエリスさんは見送りを断り、一人で玄関から出ていってしまった。

居間には、私とひなただけが残っている。

何か話題を…そう思い口を開こうとしたとき、お腹から音が鳴った。

驚いた様子のひなたに、赤面する私。

そういえば起きてから何も食べてなかった…。