ローズ・ローザ・ローゼス





僕は何も持たずに、この町へやってきた。


何の特徴もない、田舎の土地に見栄を張って都会らしさを取り入れている、そんな町だった。


何も持たずにやってきたものだから、僕はホームレス同然の身分になった。食べるものもなく、かと言って仕事を見つけるわけでもなく、ただ、ひたすらにそこら辺を歩いていた。


そんな時にローズと出会った。


「まるで、犬が必死に生にしがみついているみたいね」


それがローズの第一声で、僕はなんだか、すごく面白い出会いをしたと、その時思った。


普通だったら、「大丈夫ですか?」とか、「どうしたんですか?」なんて声をかける。いや、声すらかけずに近寄らないようにするものだと思っていた。


ローズにはそういう偏見のようなものがなかったのだ。