電車が来た。 電車に乗った。 弱冷車だった。 優先席の真ん前にある、車両の端っこの席にまたボストンバッグを膝の上に置いて座った。 隣に座った焼け野原を彷彿とさせる頭をした、サラリーマンのおじさんに肘を当てないように身をよじりながらボストンバッグからイヤホン取り出し、耳につけ、スマホを操作する。 イヤホンから流れてきたのは「Free and Freedom」という曲。 こんなことをした私を、自由はどこへ連れ出してくれるのだろうか。