ローズ・ローザ・ローゼス





終点でバスを降りた。それから東京駅までの片道切符を買った。


改札をくぐってホームに向かい、ボーリング場とかに置いてそうな硬いベンチ、一番端っこの席で、膝の上にボストンバッグを置いて座った。


そういえば電車に乗るのはいつぶりだっただろう。


専業主婦になる前、私は毎日のようにこの電車に乗っていた。


スマホに入れた音楽を流しながらイヤホンをして、女性専用車両のファンデや香水の匂いが充満する中、会社についてまず何をするか頭の中で考える。


今日のシフトは誰が入っていただろう。ああ、スミオカさんか、今日は忙しくなる。


そんなことに毎日悩みながら、ストレスを発散することもできず。でも、それが楽しかった。充実していた。身体中の血が正しく、激しく、駆け巡っていた。あの頃私は、たしかに生きていた。